809 風土 人間学的考察 和辻哲郎

c0195327_19284731.jpg建築を学んでいた学生の頃、世界の建築はインターナショナルスタイルが浸透し、未来の住宅は畳座から椅子に、蒲団で寝ることがベッドに変わり、家でも靴を履いたまま暮らし、食事は箸からフォークとナイフに、と生活はどんどん近代化、それは西洋化と認識していた。

しかし、年を重ねると少しずつ、西洋文明をそのまま取り入れることが徐々に違和感を覚え、この本に出会いました。

生活をしているその場の風土が文明に大きく影響する、まず自らが生活する風土として日本を知る、つまり、建築・住・食・生活・文化・伝統をしっかり勉強・体験することが大切であると。

設計をするとき、また、比較文化を知るため、いつも心に留めています。

昭和10年の著書でアメリカは対象外で、現在にはなじまない部分とか、学問的には批判もされているようですが、大変影響を受けた一冊です。

P12本文から
“寒さを感ずるということにおいて我々は寒さ自身のうちに自己を見いだすのである。”

著書のきっかけは、ハイディガ-の【有と時間】を読んで、そこに欠けている空間性や歴史性を配慮し、“風土”という人間と自然環境との深い関わりを人間学的考察により、人間が己を見出す仕方として風土を3つの類型と規定した。

※類型をすこし簡単にまとめました。

モンスーン型
季節風。南洋、東南アジア、中国、日本を含む。
特に夏の季節風を指し、暑熱と湿気との結合した“湿潤”。
湿潤が旺盛な植物、豊かな食物の恵みをもたらす、しかし、同時に大雨、暴風、洪水の自然の暴威をもたらす。その巨大な力には、ただ忍従的になり、歴史感覚の欠如、詠嘆的知恵、豊な創造性をもつ。
日本
162本文から
台風は稲の花を吹くことによって人間の生活を脅かす。
だから台風が季節的でありつつ突発的であるという二重性格は、人間の生活自身の二重性格にほかならぬ。
豊かな湿気が人間に食物を恵むとともに、同時に暴風や洪水として人間を脅かすというモンスーン的風土の、従って人間の受容的・忍従的な存在の仕方の二重性格の上に、ここにさらに熱帯的・寒帯的・季節的・突発的というごとき特殊な二重性格が加わってくるのである。

まずモンスーン的な受容性は日本の人間においてきわめて特殊な形態を取る。
第一にそれは熱帯的・寒帯的である。
すなわち単に熱帯的な、単調な感情の横溢でもなければ、また単に寒帯的な、単調な感情の持久性でもなくして、豊富に流れ出でつつ変化において静かに持久する感情である。
四季おりおりの季節の変化が著しいように、日本の人間受容性は調子の早い移り変わりを要求する。
だからそれは大陸的な落ち着きを持たないとともに、はなはなだしく活発であり敏感である。
活発敏感であるがゆえに疲れやすく持久性を持たない。
しかもその疲労は無刺激的な休養によって癒されるのではなくして、新しい刺激・気分転換などの感情の変化によって癒される。
癒された時、感情は変化によって全然他の感情となっているのではなく、依然としてもとの感情なのである。
だから持久性を持たないことの裏に持久性を隠している。
すなわち感情は変化においてひそかに持久するのである。
第二にそれは季節的・突発的である。‥‥‥
シナ
中国人は、感情生活の様態が無感動的とし、疲れることを知らず倦きることも知らない。
その執拗さ根気強さにおいて日本人の如きは到底及ばず“国家的に極めて脆弱である中国人が、経済的には中国の国土においてのみならず、海峡植民地や南洋の諸島において勝利者となっているのも、この根強さの故である。この点において中国人に匹敵し得るものは、世界中ただユダヤ人あるのみであろう。“という。
砂漠型
アラブ、アフリカ、蒙古。気候の特徴は“乾燥”。
自然は死の脅威を迫りただ待つもの恵みはなく、自然の脅威と戦いつつ、草地や泉を求めて移動し、他のもの脅威にも戦わなければならない。
そして、対抗・戦闘的関係、人格神、道徳的傾向、強固な意志、共同態的人間類型が形成される。
牧場型
ヨーロッパ。湿潤と乾燥の結合、夏は乾燥、冬の湿潤。
夏の乾燥は牧場における夏草(雑草)の繁茂をさまたげる。
ヨーロッパには雑草がない。
雑草のない従順な土地、自然は人間に対して従順である。
そこから合理的精神が発揮され、自由の観念や哲学や科学が誕生した。

c0195327_1933364.jpg

今日は桜アップ。桜ノ宮の川沿いは、金曜日なのでサラリーマンの花見がピークです。

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by MILLION-lion | 2009-04-03 19:43 | 8 芸・美・文化・歳時記


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