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807 秋の読書

まず、先日読み終えた本を紹介します。

利休にたずねよ 山本兼一
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2009年度、第140回直木賞の受賞作。
最近封切られた映画『火天の城』の作者でもあります。

P275より
侘び、寂びの趣を楽しむ草庵をつくってきたが、ただただ鄙びて枯れた風情を愛したのではなかつた。
侘びた草庵のなかにある艶やかさ。
冷ややかな雪のなかにある春の芽吹き。
――命だ。
侘びた枯(からび)のなかにある燃え立つ命の美しさを愛してきたのだ。
燃え立つ命の力を、うちに秘めていなければ、侘び、寂びの道具も茶の席も、ただ野暮ったくうらぶれただけの下賎な道具に過ぎない。

帯より
「おのれの美学だけで天下人・秀吉と対峙した男・千利休の鮮烈なる恋、そして死」、
「わしが額ずくのは美しいものだけだ」、
「釜の湯音が、松籟のごとく響いている。
瞼を閉じると、闇のなかに凛々しい女の顔がくっきりうかんだ。
あの日、女に茶を飲ませた。
あれからだ、利休の茶の道が、寂とした異界に通じてしまったのは」

用いられた白居易の詩の一部
槿花一日自為栄 槿花【むくげ】は一日なるも自ら栄をなす
何須恋世常憂死 何ぞ須(もち)いん世を恋て常に死を憂れることを

木槿の花は、1日しか咲かないが、それでもすばらしい栄華だと詠じている。
人の世を恋々と慕って、死を憂れていもしょうがない。

しかし、わが身を嫌って生を厭うのもまちがいだ。
生と死は全て幻。
幻のなかの哀楽をどうして心にかけるのか――。

白居易の七言律詩「放言」五首のうち一首の全文紹介
泰山不要欺毫末
顔子無心羨老彭
松樹千年終是朽
槿花一日自為栄
何須恋世常憂死
亦莫嫌身漫厭生
生去死来都是幻
幻人哀楽繋何情

読み終えて心の奥深くに利休の美の精神が定着したような気分。

今の読んでいるのが
趣都の誕生 萌える都市アキハバラ 森川嘉一郎
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透明化する渋谷 不透明化する秋葉原
海外志向の渋谷 メイドインジャパン志向の秋葉原
海外志向の構造――外向:上位文化に染まる趣味
オタク趣味の構造――内向:上位文化に染める趣味
都市風景の第3のフェーズ 《官》のデザイン 《民》のデザイン 《個》のデザイン

真逆のようなテーマですが、建築学者の都市文化論で面白い内容です。

その後には、光について二冊の本
17世紀の光 オランダ建築画の巨匠サーンレダム 持田季未子
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自然光を重視した独特の色調、正確な遠近法で街に残る中世の教会や教会内部を描き続け、日本では知られていないが、レンブラントやフェルメールに劣らない画家。
ロランバルトは人気のない絵を「きわめて現代的な沈黙の美学と」評し、明晰な幾何学美、永遠性、官能性があり、合理性への信頼はスピノザの指向と共通すると著者。

アルベルト・カンポ・バエザ 光の建築
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主役は「光」。「光」こそ「重力」を克服する唯一の手段という。
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真空を連想させるほどに切り詰められたバエザの建築はミニマリズムの風貌をたたえている。

遅ればせながら秋の夜長、読書です。

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by million-lion | 2009-11-27 19:19 | 8 芸・美・文化・歳時記

810.4 伊藤若冲 相国寺 釈迦三尊像・動植綵絵

伊藤若冲は、相国寺に深い縁で結ばれ、禅の修業にも打ち込む。

物の本質を外見や形を超えた究極の表現として三十三幅「釈迦三尊像」「動植綵絵」は、釈迦の悟り『山川草木悉皆成仏』から観音菩薩三十三応身になぞらえて描き上げ、両親と弟、自分自身の永代供養を祈念して寄進した。

その後「動植綵絵」は明治天皇に献納、皇居の三の丸尚蔵館に収蔵されているが、2007年五月、相国寺開基足利義満公六百年遠忌に際し企画された[若冲展]のため120年ぶりに里帰りした。


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[若冲展]は「釈迦三尊像」「動植綵絵」に加えて鹿苑寺(金閣寺)の「大書院障壁画(葡萄小禽図床貼付など)」五十面も展示された。
さすがに大人気で、平日でも2時間近くも並びました。

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並び疲れたが、大人数の隙間から覗き見る「動植綵絵」に興奮し前から離れられなかった。

そして若冲展があれば遠くでも訪れてしまうことになった。


年末に深草の石峰寺を訪れて一段落とします。


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by million-lion | 2009-11-26 12:12 | 8 芸・美・文化・歳時記

810.3 伊藤若冲 花丸図 金毘羅宮

金毘羅宮の書院は美の宝庫で、表の書院に円山応挙、私的空間である奥書院は伊藤若冲による障壁画で埋め尽くされ、現在も上段の間の花丸図が残っている。
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当時の別当が少年時代に京で若冲に師事した関係と推測される。
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二年前に公開されたので、金毘羅まで行ってきました。
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圧巻だった。

そのときの旅の記録は、いずれまた。

次回は、若冲シリーズの最後で超大作。

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by million-lion | 2009-11-24 22:08 | 8 芸・美・文化・歳時記

810.2 伊藤若冲 仙人掌軍鶏図 西福寺

若冲は、天明の大火(1788)により居宅をはじめ作品の多くを失い、失意の若冲を大阪鰻谷の薬種問屋吉野五運が向え西福寺(服部の小曽根)に1年ほど滞在して描いたのが「仙人掌軍鶏図」。
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年1回(11月3日)に若冲画が公開され、ガラス無しの間近で拝見できます。
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次回は、金毘羅の若冲です。

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by million-lion | 2009-11-23 20:17 | 8 芸・美・文化・歳時記

810.1 伊藤若冲 鳥獣花木図屏風 プライスコレクション

若冲の展覧会を遡ります。
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プライスコレクション 若冲と江戸絵画

ジョー・プライス(Joe Price)が四十年かけて収集した伊藤若沖をはじめとする江戸中期絵画コレクション。

建築を携わるものには、プライスと言えばフランク・ロイド・ライトの設計したプライスタワー。
その建築主の御曹司がジョーで、プライスタワーの建設時にライトから直々に“ジャパニーズ・アート”の教示を受けた。

それからジョーは大学卒業後、旅に来たニューヨークの街の古美術商で水墨画に出会う。
その絵が日本では忘れられていた若沖の「葡萄図」である。
その後、日本に来日して多くの若沖を手に入れ、その時の通訳が奥さん。
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名古屋での展覧会でサインをもらいました。
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鳥獣花木図屏風 六曲一双 1683mm×3744mm
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自宅の浴室の壁に描かれているそうです。

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by million-lion | 2009-11-21 20:52 | 8 芸・美・文化・歳時記

810 伊藤若冲 象と鯨図屏風 

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伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)は、円山応挙、曾我蕭白などが活躍した江戸時代中期の京の絵師。
錦小路にあった使用人2千人規模の青物問屋「枡屋」の長男として生を受けるが、家業を放棄し、芸事もせず、酒も嗜まず、生涯、妻も娶らず、作画三昧の日々を送る。

若冲は狩野派の画法に通じた後、その画法を捨て、宋元画(濃彩の花鳥画)に学び、模写に励んだようである。
しかし、若冲が実際に描く絵は細部まで克明に描写しながら、全体として現実と異なる不思議な世界に現れる。
さらに、模写に飽いた若冲はその画法をも捨て、実証主義的気運の高まりの影響も受け、実物写生に移行したと伝える。

生前の若冲は、「平安人物志」の上位に掲載されるほどの人気と知名度を持っていた。しかし、明治以降忘れ去られ、辻惟雄の『奇想の系譜』が出版により注目を浴び、特に1990年代後半その超絶した技巧や奇抜な構成が再評価され、飛躍的に知名度と人気を高め、2000年の京都国立博物館にて、没後200年を記念した展覧会開催。爆発的ブーム起こる。

今回は、2008年に北陸の旧家から発見された初公開の「像と鯨図屏風」を見に行きました。
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80歳の作。
陸の最大の生物白い象と海の最大の生き物黒い鯨のエール。
象の耳、鼻、足、尻尾などディテールの描写が不思議で面白い。

悲しげな象。

鯨に至ってはほとんど表現されていない。

いつもユニークで不思議な魅力を感じる。

同様の図柄の屏風(川崎本)が昭和始めにオークションに出ていたことが知られているが、その方の行方は分からない。


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by million-lion | 2009-11-20 20:43 | 8 芸・美・文化・歳時記

584 MIHO MUSEUM I・M・ペイ

先日の週末に行ってきました。
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紅葉の始まった信楽の人里はなれた山奥にあります。
設計はルーブル美術館のガラスのピラミッドで知られるI・M・ペイ。
訪問は二度目ですが、中に入るのは今回が初めて。
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トンネル出口のコンクリートの打ち放し仕上は見事です。
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トンネルを抜けるとガラスの小さな茅葺をモチーフにした美術館、桃源郷が現れる演出。
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美術館に入ると、正面は抜けて立派な松。
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眺望の先、左手に神慈秀明会の富士山をモチーフにした本殿。

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インテリアは落ち着いたデザインで色調も抑えた光と陰の空間。
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訪れた目的は若冲
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若冲については次回に

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この時期の夕暮れには大理石を薄くスライスした照明に灯が入り、見送ってくれます。


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by million-lion | 2009-11-18 21:01 | 5 古典建築・現代建築

311 熊本 食

熊本・鹿児島の旅、最後の投稿です。
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ランチの前に遭遇した獅子舞は、関西とはだいぶ様子が違います。

紅蘭亭
熊本で有名は中華料理店。リーズナブルで味、サービスのバランスもよかった。
詳細は、くいしんぼな一眼さんで


アスペルジュ・シェフズターブル
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若いシェフのフレンチは、予想以上によかった。
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前菜の無花果とインゲンのサラダ マロンとクルミ風味。無花果の皮を食べたのは初めて、美味しかった。
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食べ損ねた生ウニと桃、おいしいトマトの冷製パスタを食べに熊本まで行きたくなりました。

黒亭
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もしかして熊本ラーメンは一番好きかも、と感じさせました。




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by million-lion | 2009-11-16 20:36 | 3 食・店・酒

710 リレーつばめ

コンペは新たなものにチャレンジ中ですが、ブログの九州の旅が途中なので復活します。
鹿児島から新八代までの九州新幹線、それから博多まではリレーつばめに乗り継ぎます。
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リレーつばめには何度か乗りましたが、この鹿児島からの帰りの車両はグリーン車並みの席とスペースで、乗客は私たち以外には1人。
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隣の車両を除くと個室になっている。しかし、乗客はゼロ。
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いいでしょうなぁ旅の気分が満喫でき、JR西日本も個室のある特急を走らせてください。

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by million-lion | 2009-11-10 19:43 | 7 西の旅・東の旅

095 もうひとつのコンペ案

11月4日に提出した甲府の住宅。
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詳しくはハウスコをご覧ください。

玄関庇は表現上抜いています。

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by million-lion | 2009-11-07 10:34


設計事務所の造形工房、千原利英のブログ


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